7月のミュージカルに着ていく着物のご相談

こんなご相談メールを最近頂きます。
多いのはどんな時にどんな物を着ていくのがベストなのか?が知りたいというご相談です。


今回は7月のミュージカル(といっても色々レベルも様々だと思いますが)に着ていく着物の件を例にしてみたいと思います。

以下は実際に私がお送りしたメールの内容です。


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あづまや きものひろば 柴川でございます
この度はお問い合わせくださり誠にありがとうございます。

早速ご質問の
>7月にミュージカルを見に行くのですが,素材など,どんな着物が良いのでしょうか
の件ですが

○○様が男性の方とお察しして当店の考え方としてお答え致します。

ミュージカルでも色々あると思いますので一言では言えませんが

私的には、お洋服に例えられて考えられるのがとてもヒントになると思います。

結婚式などの正装の場とは違い、今では観劇などの場ではお洋服の様子も以前よりかなり変わって来ていると感じています。

ご自身がミュージカルに洋服で行くとしたら?

1、ジーパンTシャツの様な軽装=浴衣や阿波しじらに襦袢を付けて着ていく(柄や縞模様がある)

2、スラックスに衿付きシャツのみ=小千谷縮みのような麻素材や綿麻の着流しなど(無地に近いもの)

3、スーツなど=小千谷縮に夏羽織(袖無し羽織でも可)もしくは夏物のお召アンサンブル(絹の物)?

おそらく、今のミュージカルに着られるお洋服のTPOは上記の3通り全てが会場で見られると思います。

これは和服洋服問わず個人のモラルの問題であり、また誰がどうのこうの言う事ではなく、ご自身がどの程度そのイベントについて装いを考えているかに尽きると思います。またその感性を多く持った人である程度の人数が揃えば今の時代のTPOを築かれるのかもしれません。

私はほぼ毎日着物生活を10年ほど過ごしているのですが、その間に色々考え方も変わってきました。自分がまだ20代の頃だったら恐らく、誰にも相談せず浴衣に襦袢で行ったと思うし、今(アラフォーですが)だったら、その場の雰囲気をどなたかに相談しながら2番の小千谷の着流しで行くと思います。そして40代後半からはおそらく3番のような着こなしになっているのかも知れません。また恥ずかしながら私は夏物の準礼装の着物は持っていませんので、その時が来たら作ると思います。

日本文化の一面として、衣・食・住の考え方の内、衣が一番始めに言われているのは日本人は今まで「着ている物によって身分の差を示して来た」と思います。お姫様は誰が見てもお姫様ですし、町人の娘は誰が見ても町人の娘ですよね。
では、今の時代に照らし合わせると、普段生活では身分の差を着ている物で差をつける事はあまりなくなりました。
しかし、芸能に携わる人や文化人の皆様はやはり洋服姿も着物姿も一流です。

たまにこういう事をご自身のご友人などと一緒に考えてみると面白いと思います。何が大事で何が必要なのかと。

私は、着物屋なので当たり前かもしれませんが、自分の着物は色々持っています。正装から微妙な物、もちろん一番多いのは木綿などの普段着です。今はたまにしか着ない物が欲しくてしょうがないです(笑

お答えになっていないと思いますがご参考になれば幸いです。


難しい事を言いましたが、実際私はかなりいいかげんな人間です、ただ最近になって洋服や着物のTPOには、地域性の違いや習い事の中でのルールもそれぞれに書いてある事は正解ばかりで答えが無いという事がわかると面白くなってきているだけです(笑 着物業界は確かに遅れていると思います。私はそれを知った上で敢えて破って行きたいと思っています。だってそっちのが面白そうなんですもの。着物は着る物である限りファッションであって欲しいです(笑


長文駄文お許し下さい。