尺指しマニア
私の商売道具の尺指し(しゃくざし)です。
着物と尺との関係は本当に知れば知るほどと言うか、関われば関わるほど、深い意味があります。
今では既製品の着物の表記も私のホームページでのお店の寸法表記もcm(センチメートル)で記入してありますが、実はどうしても尺に変換しないと「しっくり」来ないのです。
昔の着物の身丈を測ると、大抵の着物は「4尺」で出来ています。
標準と言われる身丈で考えられていたと思います。
身長で換算すると、着方にもよりますが、150cm前後の方の寸法です。
昔の平均身長がおそらく低かったのと、おはしょりをあまり取らなかった理由や腰骨近くで腰ひもを締めていたとかの理由が考えられます。
今度は染めの型を見てみます。多くは「2尺」で一型(ひとかた)になっています。
ちょうど倍で4尺になります。
褄下と呼ばれる帯から下の寸法も約2尺。帯を挟みおはしょりをして肩山までで4尺。
ちょうど柄行きがピタッと来ます。
これはほんの一部の例ですが、袖丈にしろ、裄にしろ、お仕立てとのバランスの訳を知ると、cmでは合わない、絶妙なバランスで尺寸法に填まってきます。
日本人が「着物」を作るために作った超便利な道具なのです。
今でも当店は仕立て屋さんと話す時はすべて「尺」でお話させて頂いています。
だからと言って、皆さんに「じゃあ尺で覚えろ」なんて事が言いたいわけではありません。
しかし、着物のプロとして実際に実店舗でお話させて頂くときには、「〜尺〜寸〜分」と呼んでしまう事をお許し下さい。
また、お客様から頂いた寸法もすべて尺に換算させて頂いております。
微妙なズレは逆にズレではなく「しっくり」させるためだとご理解ください。
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話は変わって
この尺指し、ちょうど長さが76cmほどで竹で出来ているので、子供のころは弟と良く「チャンバラごっこ」をして遊んだものです。もちろん親父にひどく怒られた思い出があるのですが、懲りずに遊んでいました。
でもね、家に7歳になろうかという息子がいるのですが、まったく興味がないのか尺指しで遊ばないのです。
今の子は「剣」と言うものに興味がないのかなぁ??